
記憶は我々のアイデンティティにとって、とても重要な機能です。
記憶は、加齢によって機能低下すると言われておりますが、直接的な原因は判明していません。
ただし、神経調節系の機能低下が原因となっていると言われています。
迷走神経刺激と認知能力の活性化
迷走神経を刺激することで記憶神経調節物質の放出を促進させ、
脳活動の活性化がさせられるのではないか、という研究があります。
迷走神経刺激と脳機能活性化の研究は、一世紀以上長く行われており、
直接迷走神経刺激(dVNS)によって抑うつ症状の改善と認知能力の改善が観察されています。
ただし、抑うつ症状の改善が関係している可能性があるため、さらなる研究が求められています。
また、ラットでの実験において dVNS 後の記憶増強効果も確認されており、
アルツハイマー病患者を対象とした小規模な研究では、認知能力の改善、
あるいは低下させないという報告があり、dVNSは脳機能に特定の効果があることが示唆されています。
直接迷走神経刺激に代替する経皮迷走神経刺激
しかし、dVNSは首の迷走神経にワイヤーを巻き付け、断続的に電流を流す侵襲的な療法です。
非侵襲的な代替法として経皮迷走神経刺激(nVNS)については、
dVNSと同様にてんかんの頻度を減らしたり、うつ症状を改善する効果が観察されています。
高齢者を対象として、nVNSが連想記憶力に与える影響について実験した結果、
参加者の記憶能力の向上が報告され、有用な神経調節技術であることが示唆されました。
以下、記事の引用です。
私たちは、1 回のセッションの tVNS が健康な高齢者の連想記憶力に与える影響を調査することを目的としました。これを調べるために、健康な高齢者(n = 30、女性 50%)を対象に、単盲検模擬対照ランダム化クロスオーバーパイロットスタディを実施しました。
刺激または模擬条件中、参加者は顔名前連想記憶タスクを実行しました。tVNS は、模擬条件と比較して、記憶タスクのヒット数を増加させました。この効果は実験タスクに特有のものでした。参加者から副作用はほとんど報告されませんでした。
tVNS は、1 回のセッションでも高齢者の連想記憶能力を向上させる有望な神経調節技術であると結論付けています。
その根底にある神経メカニズム、さまざまな刺激パラメータの影響、認知機能低下患者への適用可能性を調査するには、さらなる研究が必要です。
全文は下記よりお読みいただけます。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0197458015001542
