
迷走神経を介する副交感神経の機能障害は、運動耐容能の低下と強く関連しています。
それは運動パフォーマンスを最適化するには、自律神経系の協調的な制御が不可欠であることを示唆しています。
この研究では、非侵襲的経皮的迷走神経刺激療法(tVNS)による、自律神経調節がヒトの運動能力を向上させるかを検証しました。
ボランティアを対象とした実験と結果
実験では、健康なボランティア28名を対象とした単一施設、無作為化二重盲検クロスオーバー試験を実施しました。
参加者は、7日間毎日30分間、両側の耳介へのtVNSまたは偽刺激(シャム刺激)を受け、
その後に最大酸素摂取量(VO2peak)を指標とした心肺機能評価を行いました。。
副次評価項目として、最大運動負荷量、心肺機能指標、血液サンプルにおける炎症反応も測定しました。
実験の結果、7日間のtVNS治療により、VO2peakは有意に増加(1.04 mL/kg/min)しました。
一方で、シャム刺激の方は変化は見られませんでした。
また、tVNSは最大運動負荷時の仕事量、心拍数、呼吸数を有意に増加させ、さらに血液の炎症反応を抑制する効果も示しました。
結論
非侵襲的な迷走神経刺激療法は心肺機能を改善し、炎症反応を抑えることが示されました。
運動能力を向上させるための、画期的で安全安価な方法として有望であることが明らかになりました。
以下は本文からの引用です。
tVNSを7日間連続で毎日30分間適用したところ、VO2ピークが1.04 mL/kg/分(95% CI: .34–1.73、P = .005)増加したのに対し、 sham刺激後は変化が見られなかった(−0.54 mL/kg/分、95% CI: −1.52~.45)。
2週間のウォッシュアウト期間後には持ち越し効果は認められなかった。
tVNSは、最大運動時の運動量(6 W、95% CI: 2–10、P = .006)、心拍数(4 bpm、95% CI: 1–7、P = .011)、呼吸数(4回/分、95% CI: 2–6、P < .001)を増加させた。
5 人の参加者から採取した連続サンプルにおけるリポ多糖に対する全血トランスクリプトーム反応の分析により、tVNS が炎症反応を軽減したことが示されました。
全文は以下より参照頂けます。
https://academic.oup.com/eurheartj/article/46/17/1634/8023896
