
以下は『Front. Psychiatry』に掲載された論文について翻訳し、要約したものとなります。
新型コロナウイルス感染症の主な症状として、呼吸器系統への重篤な症状などがあげられますが、実際には呼吸器系統以外にもさまざまな器官に悪い影響を与えています。その影響は心血管系・神経系・腎臓系・免疫系など多岐に渡り、それぞれが相互に作用しています。そして、炎症性サイトカインのレベルが上昇する極端な免疫反応によって、死に繋がるような場合もあります。
また、新型コロナウイルス感染症の症状には身体症状だけではなく、うつ病や不安、睡眠障害などのメンタルヘルスに関する症状が出る場合もあります。新型コロナウイルス感染症のワクチンが発症時の症状を緩和させる効果があることもわかっていますが、メンタルヘルスの分野においてはエビデンスのある研究結果が比較的少ないです。
うつ病と経皮的迷走神経刺激療法
炎症性サイトカインとは、血管内皮、マクロファージ、リンパ球などの細胞から産生されるたんぱく質の一種で、ウイルスなどから体を守る免疫の機能を持ちますが、同時に炎症の原因ともなる物質です。うつ病には炎症や免疫調節機能の異常が関連しているとされており、炎症性サイトカインの産生を制御することで、うつ病の症状を緩和できる可能性があります。
また、免疫系と脳回路との間の炎症性サイトカインを介したさまざまな形態のコミュニケーションが、脳内の炎症を調節するという研究結果も出ています。つまり、脳回路での炎症を抑える治療を行うことが重要です。
耳介を直接刺激する経皮的迷走神経刺激には、迷走神経の耳介枝を介して脳回路の調整し、炎症プロセスを抑え免疫機能を改善する効果があることが示唆されています。
この研究に関して、論文内にて以下のようにまとめがされています。
このレビューでは、COVID-19 の炎症や関連する臓器機能障害の治療に使用できる taVNS のターゲットを包括的に評価しました。COVID-19 には炎症性サイトカインと脳回路の相互関係が関与していることは明らかです。ここで詳述した研究結果は、taVNS が COVID-19 パンデミック中のうつ症状の補助療法として使用できる可能性があることを示唆しています。COVID-19 とそれに伴うサイトカイン ストームを治療するために、抗炎症プロセスを標的とし、脳回路を調整する根拠を示します。提示した証拠は、理論的には、COVID-19 によって引き起こされる呼吸器症状と免疫系の損傷に対応して、taVNS を使用して免疫機能を改善し、COVID-19 後の後遺症におけるうつ症状の重要な治療薬となる可能性があることを示唆しています。
全文は以下よりお読み頂けます。
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyt.2021.765106/full
